オーロラ創出装置の仕組み
まず、真空ポンプによりデシケーター内を減圧します。そして、高圧電源によって、二つの電子放射帯と地球との間に高電圧をかけ、電子を地球へ向けて放射します。地球内部に設置した磁石の磁力によるローレンツ力とクーロン力によって、電子は地球の両極の回りを運動します(理想的には円運動)。つまり、地球の両極の周辺でリング状に電子の存在密度が高くなるのです。この電子が、わずかに残っている気体分子や原子と衝突し、そのエネルギーによってオーロラが発光するのです。詳しくは、電子との衝突により、気体分子が励起されます。そして、基底状態、または下位の励起状態へと遷移する時に、そのエネルギー差にあたる波長を持った光子が放出されるのです。そのため、内部の残留気体の種類によって、オーロラの色を変えることが可能です。
【装置説明】
- デシケーター
デシケーターとは、本来は固体物質を乾燥して保存するために用いる密閉容器のことです。しかしながら、今回は真空容器として代替しています。この実験の真空度では十分代用できています(?)。
- 真空ポンプ
デシケーター内を減圧するための装置です。10-2〜1Torr(「トール」圧力の単位 760Torr=1気圧)位まで減圧します。これは上空数十kmにおける気圧に相当します。上についている金属の支柱は圧力を測定するためのもので、ピラニゲージへ出力されます。
- ピラニゲージ
圧力を表示するための装置です。デシケーターの構造の都合上、直接デシケーター内の圧力を測ることはできず、真空ポンプに測定器は設置されています。気体の粘性が問題にならない限り、支障はないと言えます。
- 高圧電源
最大で3000Vの高電圧をかける事ができる、直流電源です。電子放射帯に陰極(マイナス極)、地球に陽極(プラス極)をつなぐことで、帯から電子を地球へ向けて放射させることができます。
- 感電君
電子放射帯と地球との間に放電が始まると、そこにはほぼ抵抗は存在しなくなります。すると、高電圧のために大電流が流れ、電源に多大なる負担をかけるばかりか、大変危険な状態になってしまいます。そのため、回路内に抵抗を用意し、大電流が流れるのを防ぐ必要があります。通称「感電君」は、この頑丈な体内に抵抗群を有し、その役目を負っているのです。また、感電君は垂下特性を考慮した設計となっています。地球の両極(北極と南極両方)にオーロラを浮かび上がらせるために、電子放射のための帯を二つ設置しています。しかし、電源は一つしかないため、図のような単純な放電部の並列回路では、片方の帯・地球間にしか放電は起こりません。放電が始まると、放電部に抵抗はほぼ存在しなくなるため、抵抗rに高電圧がかかってしまうからです。そこで、図のようにすれば、片方の放電部h1で放電が開始されても、高電圧は抵抗r1にかかり、もう一方の放電部h2に高電圧はかかったままとなります。感電君の内部はこの特性を利用した回路となっています。
- 地球
陸地と海が描かれたアルミ製の球体です。内部には、永久磁石が設置されています。また、電子放射帯から放射された電子を効率よく引きつけるために、高圧電源の陽極(プラス極)とつないであります。
- 磁石
地球内部に設置されている永久磁石です。地球へ向けて放射された電子は、この磁石の磁力にとらわれ、地球両極周辺で円運動をします。電子が陽極(プラス極)である地球にすぐには吸収されずに運動するために、オーロラが地球局部で出現するのです。
- 電子放射のための帯
金属の細い線が編み込まれたネットをチューブ状にし、金属の芯を通したものです。高圧電源の陰極(マイナス極)につなぎ、ここから地球へ向けて電子が飛び出します。効率よくリング状のオーロラを作るため、また、実際の地球では太陽の方向からだけではなく、むしろその反対方向からプラズマ流(電子を含む)が流れ込んでいることを考慮して、地球を取り巻くように円形にし、上下に二つ取り付けています。さらに、よりよく電子が飛び出すように所々ネットを切り裂いて細線の先端を多く出しています(量子論におけるトンネル効果を期待)。
- 気体ボンベ
デシケーター内に封入する気体です。この気体の種類によって、オーロラの色は変わります。複数種の気体を入れれば、数色のオーロラが出来上がることもあります。
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