行政機構研究会平成十四年度駒場祭講演会に向けての勉強会
第一回 世界の軍事情勢
1.初めに
前回はひとまず講師を知ろうと言うことで、中谷前防衛庁長官の経歴を紹介させていただきました。時間的制約からあまり詳しいところには立ち入って説明をしませんでしたが、中谷前長官についてだいたいのところをつかんでいただけたのではないかと思います。
さて、今回からそろそろ本題である日本の安全保障問題に入っていきたいと思います。実質的に第一回目である今日は、安全保障問題の中でも現代世界の軍事情勢について説明したいと思います。経済取引や文化交流など非軍事的手段が安全保障問題において評価された今日であっても、まだなお軍事力は安全保障問題を考える上で重要なファクターであり続けているからです。
2.世界の軍事情勢
【1】アジアにおけるこの十年間の変化
十年前に比べ、総兵員数についてはロシア軍が当時の四分の一である約百万人、中華人民共和国が当時の五分の四の二百四十万人になったのを代表として、減少傾向にある。これは一見冷戦が終わったため軍縮が進んだというように見えるが、むしろ軍拡が進んでさえいるのが現状である。各国の軍事費に注目すると北朝鮮・インドネシアを除いて増加しており、特に中華人民共和国では兵員一人当たりの軍事費が当時の七倍強にまで増えている。このように兵力を減らして各国が現在熱心に行っているのは軍の装備の近代化である。現代の戦争では兵隊の数より兵器の質が勝敗を決定するという傾向が以前に比べ極端に強くなっており、これに備えるため国々は軍の近代化を目指しているのだろう。また、陸軍を削減して海・空軍を強化するということもしばしばであり、この点も軍事費の高騰の理由の一つである。
【2】世界の核兵器
世界の全般の傾向として核兵器削減の方向にある。しかし、インド、パキスタンが1995年5月に核実験を行い、事実上の核兵器保有国になった。また、北朝鮮、イラク、イランの核兵器開発疑惑は払拭できず、実際に数年前から北朝鮮が核開発を行なっていたことが今回判明した。このように核不拡散体制はかなり揺らいでいる。
核兵器保有中心国においても完全に核兵器の削減に動いているわけではなく、米国がロシアに対してABM条約脱退を通告したり、ロシアや中華人民共和国が未だにICBM開発を進めているなど再び核開発競争につながりそうな火種は多い。
また、現在の核兵器保有国八カ国は次のとおりである。
米国、ロシア、イギリス、フランス、中華人民共和国、インド、パキスタン、イスラエル
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