ラテンアメリカ音楽演奏入門ゼミ
秋のライブ
Estudiantina Komaba
――今回は、エストゥディアンティーナ・コマバの石橋先生にお話をうかがいます。
ではまず、この団体名について教えていただけますか?
石橋:エストゥディアンティーナというのは、ラテンアメリカで地域の人々が学校なんかに集まって合奏をする場のことでね。だから我々もオフィシャルにはゼミという形ではあるけれど、合奏したい人が自然に集う、そういう集まりを駒場に作ろうということで、Estudiantina Komabaという団体名で活動してるんだ。
授業でもなく、サークルでもない。合奏したい人が集まってくる。そこに素晴らしいクリエイティビティが生まれる可能性がある。そのユルい感じが特徴かな。
――この団体は、先生のゼミの修了者が参加しているわけですよね?いつからこのゼミを?
石橋:今年から始めたんだよ。夏学期に開講して、冬学期には、もっとやりたいって人が自然に集まる、みたいな形を今はとってるね。8月に発表会もやった。 →その時の演奏『星の涙』を聞く
日本には実はベネズエラ専門の研究者って二人しかいないんだけど、僕はその一人なんだ。この20年くらい、ベネズエラ音楽を日本に広めるために11月にレクチャーコンサートを開いたりしてたんだけど、それを聞いた駒場生の中にも演奏してみたいって人が出てきてね。最近は学校の外でも何故かバンドとかできてベネズエラ音楽が普及しつつあるし、ここはひとつ、この流れをサポートできるようなことができないかと思ったんだ。
音楽を理論理屈から理解するって方法も確かにある。だけど僕は文化人類学者でフィールドワーカーだから、実際に演奏をやる、演奏する喜びに触れる機会をつくりたいと思ったんだよ。
駒場にはラテンアメリカ音楽専門のサークルもあるけど、あそこはボリビア専門だし。そうそう、始めはサークルでもやろうかと思ったんだけど、僕としてはエストゥディアンティーナのあの雰囲気がいいし、理系がヘンテコなことたくさんやってるのに、文系のゼミ枠ってあんまり面白い授業がない(笑)から、授業という形で学生を集めてみるのもいいかなと。
――ゼミをやってみてみなさん、演奏できますか?
石橋:うん、意外にすぐにアンサンブルできて、僕も驚いた。
理屈としては分かってたんだけどね。ラテンアメリカ音楽、特にカリブ海辺りのは即興的な演奏をすごく大切にするんだけど、何故それができるかというと、基本的なコードや型はごくシンプルなんでね。名人芸になるとその骨組みの上に豊かな肉付けをして、すごく複雑なこともできる。でも初心者でも、コードを少しとリズムを練習すれば、日本人のなんちゃってベネズエラ音楽じゃなく、本当にベネズエラらしい演奏ができるんだよ。
――なるほど。では、ベネズエラ音楽の魅力ってなんでしょう?
石橋:うーん、ラテンアメリカ全般じゃなくて、ベネズエラ限定か。そうだな、すっきり辛口のメランコリィとでもいうのかな。ブラジルとかのメランコリィは、もっとしっとりしていて、さめざめと泣くような感じなんだけど、ベネズエラはもっとカラッとしてるね。都会と田舎でまた違いはあるけど、そこは共通してるかな。ベタベタしない。
――それでは、今回の企画の見所はどこですか?
石橋:ラテンアメリカではエストゥディアンティーナがやる重要なことが二つある。
一つはセレナーダ。これは夜分、意中の女性の家にアポ無しでいきなり行って、迷惑がられようがなんだろうがなんだろうが愛を歌う(笑)。
もう一つはマランダ。これはクリスマスにやっぱりアポ無しで会社とかに押し掛けて演奏やって、カンパや酒や宴を強制する(笑)。
これはエストゥディアンティーナの大切な役目だから、駒場祭で絶対やりたいと思ってるんだよ。
――最後に意気込みなどは――
石橋:無いよ(笑)。8月の演奏会がメインだったからね。
でもそうだな、さっきも言った通り、「やりたいからやる」って連中が集まってる団体だからね。日本だと、どうしたってやらなきゃならないからやるってことの方が多い。だからこの演奏の時ぐらいは「やりたいからやる」を前面に出していきたいね。
それと、合奏したいってのと同じくらい、それを人に聞いて楽しんでもらいたいとも思ってる。だから、是非一度聞きに来てほしいな。
――ありがとうございました。
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