物理工学科と計数工学科について教えてください。

『大自然と工学の架け橋を作る』。それが、物理工学科と計数工学科の二つの学科で構成される、「応用物理系」のモットーです。
物理工学科は、物理と言えばパッと思いつくような「相対性理論」や「量子論」などももちろん勉強するのですが、私たちはすごく身近な物理も含め、本当に幅広く勉強をしています。色々な最先端の物理を学び、体験し、そして応用できる学科です。世の中の不思議を使って生活を豊かにしたいと考える、夢溢れる人たちがたくさんいます。
計数工学科は、名前だけでは何をやっているのかがわかりにくいですが、やっている事は「数学を使って問題を解く何でも屋」と言ったところでしょうか。バーチャルリアリティからプログラミングそのものの研究まで、本当に色々なことをしているこの学科ですが、基本的に学科生は数学が好きで、数学を色々なところで利用したい人たちが集まっています。
昨年から引き続き、「あなたのハテナをビックリに」という印象的な企画名ですが、このコンセプトに込められた想いを教えてください。
「物理って何?数学って何?難しそう。」と言われがちです。物理のイメージとしては量子理論や相対性理論などと難しそうで馴染みのない言葉ばかり、数学のイメージとしては難しい数式の羅列、ではないでしょうか。このような、「よく分からない」の「ハテナ」が、物理や数学を近寄りがたいモノにしているのではないでしょうか。
けれども、実は数学や物理って、すごく身近で、どこにでも登場するものなのです。毎日乗っている電車の中に。人間と人間の友人関係やつながりの中に。普段話している日本語の中に。あげくの果てには、今日のお昼ご飯に使ったカタクリ粉の中に。ありとあらゆる場所に、物理と数学は秘められていて、私たちの生活を支えてくれます。ハテナで埋められてしまっていて近寄りがたいものとなっている物理や数学を、とりあえずは難しいウンチクは抜きにして、見て聞いて触って楽しんで欲しい。「こんな事も出来るんだ!」や「へ〜!」と、「ビックリ」して頂きたい。特に中学生や高校生たちに、物理や数学の面白さを経験して欲しい。それが、普段物理や数学に情熱を燃やしている私たち学生からの思いです。

実は物理工学科・計数工学科が五月祭で企画をやったのは去年が初めてだったそうですが、昨年は2日間で2500人もの方が来場され、MFAではみごとグランプリを獲得されました。企画をご覧になった来場者のみなさんの感想はどのようなものでしたか?
「私たちにも、分かるの?」来場者の皆さんから受付で聞かれた一番の質問が、それでした。しかし、一歩展示の中に入って頂いた後は、その疑問が吹き飛んだと言ってくれました。超伝導体が浮くのを見て感嘆の声をあげたり、ビー玉で動くコンピューターと対戦したり、バーチャルリアリティでちょっと異世界に触れてみたりと、たくさんのお客様に物理や数学を見て触って楽しんでいただきました。私たちが嬉しかったのは、「楽しかった!」とか「面白い!」と言ってくれた人たちが多かったことです。そして、中学生や高校生たちにも、「へ〜、物理ってこんなことも出来るんだ!」や「数学ってこんなところにも使えるんだ!」と言ってもらえた事です。
物理と数学という不思議な世界の楽しさを、ちょっとでもわかってもらえたと、思っています。
今年はどのようなテーマを扱うのですか?
今回は、5つのテーマを掲げて展示を行なおうと考えています。それぞれの班には6人程度の人員で構成されています。全ての班が、自分のテーマに精魂をつぎ込んで、楽しい展示に出来るよう、務めています。以下は、それぞれの班の簡単な紹介文です。
私達は普段何気なく生活していますよね。しかし 、それは私達が五感を通して自分がこの世界にいると感じているだけなのかもしれません。この五感に人工的に刺激を与えてやって、あたかも自分がバーチャルな世界にいるかのような体験をしてもらおうというのが、今回バーチャルリアリティ班が行うことです。
粉体力学という名前を聞いたことがありますか?高校の物理の教科書にも載っていませんが、実はとても身近な物理の分野です。取り扱うのは小麦粉や砂などの粒子です。観察する現象は、数十m単位の粉のかたまりの運動から、mm単位の粉の一粒一粒まで様々あります。どこにでもある粉が意外な挙動をする、そんな物理に基づいた計算と実験をお見せし、家に帰ったらペットボトルとお米で試したくなる展示を目指します。
「自然言語」とは、日本語や英語など、人間が使う普通の「ことば」のことです。自然言語班では、身近な「ことば」の世界の意外な場所に潜む数学の世界を、ゲームなどの展示で楽しくご紹介します。コンピューターで「ことば」を扱う方法や、いまやインターネット利用者の常識となっている検索エンジンの新しいトレンドにも切り込みます。
小さい頃、磁石で遊んだことはありませんでしたか?磁石だけでも、遊んでいてすごく楽しかったですよね。超伝導とは、温度によってすごく強い磁石になったり、どんな金属よりもよく電気を通すようになったりする、すごく不思議な物体のことです。この超伝導は、色々な面白い現象を見せてくれます。その例として、高温超伝導体の浮上を展示します。
磁石の上に浮いてぴったりと静止している超伝導体は一体何者でしょうか?磁石?それともまったく別のもの?超伝導体と磁石の不思議な関係をご覧ください。
「ネットワーク」という言葉をどこかで聞いたことがあるかと思います。インターネットや送電網、生態系や知人関係まで、世の中には様々なネットワークが存在します。複雑に絡み合った世界をどのように読み解けばいいのか、そのヒントになるような展示をネットワーク班で行う予定です。

大学の講義や実験も多い中で企画を作り上げるのは大変だと思いますが、いつ頃からどのように準備を行っているのですか
五月祭の準備は、去年の冬学期から、つまり7ヶ月前から少しずつ進められてきています。
初めは、私たちも何も知らない状態からはじめるので、お勉強からはじめます。学科の先生方や、他の大学の先生方にもお話を聞きに行って、本の紹介をしてもらったり、「こんなことが出来たら面白いよ」などの展示のアイディアを頂きます。その中で、6人ぐらいの班で「輪講」と呼ばれる形式の、本の読み合わせをします。基本的には、一週間に一回程度にみんなで集まって、変わりばんこで一人が先生となって、本を読んでいく、それはそれで楽しい勉強の仕方です。
さて、お勉強が一通り終わった後が、大変です。テーマが決まっていて、学校の勉強のように詰め込んだ知識があるのですが、さて何かを作るぞとなったときには、何をすればいいか、正直分からない。何をしても言いわけだから、逆に何をしていいか分からない。「楽しんでもらえるかな?」、「分かってもらえるかな?」と疑心暗鬼に駆られながらアイディア出しで頭を抱えることは、確かに苦しかったですが普通の授業や実験ではなかなか体験できないことでした。
テーマが決まれば、あとは製作と実験あるのみです。学科の研究室などとも協力してもらいながら、製作・実験過程の中でも色々な先生方にアドバイスを頂きながら、作業を進めていきます。しかし、これがなかなかうまく行かない。試料は焦げるわ、電圧が足らないわ、プログラムのバグが出まくるわ、せっかく作った機械は壊れてしまうわ。時にはすごく慎重に物事を進めて、時にはエイヤー!といい加減に進めたりと、その道のりは紆余曲折です。
長い時間ですが、笑ったり困ったり楽しんだり泣いたりはしゃいだり怒ったりして、一つ一つの展示が出来上がって、準備が整っていきます。一つの展示が出来上がったときには、みんなで手を上げて喜んでしまうほどです。

最後に、五月祭への意気込み、来場者の方へのメッセージをお願いします。
難しいことは抜きにして、とりあえず楽しんで欲しい。そんな思いで展示を作っていきます。実際に見たり、触ったり、聞いたり、体験するような展示ばかりです。「うそ、こんなことがあるんだ!」や「え、面白い!」と思って頂けるよう頑張って務めますので、是非、本当に気軽な気持ちで展示に来て頂ければと思います。
「今日は面白いものを見たな」と思って、お帰りいただくことを、保障いたします!
ミーティング中にも関わらず、取材に快く対応してくださいました。 いくつかの実験を実際に見せていただきましたが、どれも興味深いものばかりでした。
今回見せていただいたのはほんの一部にすぎないらしいので、「あなたの?を!に」への期待は膨らむばかりです。