ピックアップ企画
フォーミュラレーシングカー展示
東京大学フォーミュラファクトリー
第7回全日本学生フォーミュラ大会、総合優勝――こんな輝かしい実績を残したサークルが東京大学に存在することを、一体どれほどの人が知っているだろうか。
彼らの名前は、東京大学フォーミュラファクトリー(通称UTFF)。2002年に工学部産業機械工学科の草加浩平助教授(当時)の呼びかけで発足し、現在は学部1年生から博士課程の大学院生まで総勢40名ほどで活動している。毎年9月に行われる全日本学生フォーミュラ大会に向けてフォーミュラカー作りに励んでいる。
丸一年、自動車一直線
フォーミュラカーとは、タイヤとドライバーがむき出しになっている競技用の四輪自動車のことである。このフォーミュラカーの企画・設計・製作を一年間かけてすべて自分たちの手で行う。
9月中旬の大会が終わるとすぐに次年度大会に向けたコンセプトやスケジューリングの話し合いが始まり、順次設計へと移っていく。マシンの基礎となるフレーム、次いでマシンの速さとブレーキの良し悪しに関わるサスペンション・駆動制動の順に、設計が終わると製作が始まる。5月には原形を完成させ、初走行ができる状態にもっていく。
徐々にマシンの形が出来ていく中、6月のデザインレポートの提出、7月のコストレポート提出など書類の作成も行われる。中でもコストレポートには推計2000枚ほどの紙が使われており、超大作というべきである。コストレポートが出し終わると、いよいよテスト走行も本格化してくる。8月中旬の「全ばらし」という総チェックを経て、9月に入るとマシンの整備に加え静的審査(後述)へ向けた準備に忙しくなる。大会前日にようやく全てが完成し、トラックに載せて大会会場まで運んでいく。
「今年こそは」
大会は4日間の日程で行われ、車検、動的審査、静的審査という3つの面からの審査が行われる。車検では主に安全面からルールに適合しているかの確認が行われ、動的審査では実際に走ってタイムを競う。燃費も動的審査項目の一つだ。静的審査では、コスト・プレゼンテーション・設計の3項目が審査される。車検に合格すると審査に参加ができ、動的審査と静的審査の合計得点で順位が争われる。マシンの速さだけではなく、コストなども含めたチームの総合力が試されている。
大学生のものづくりを推進・奨励する目的で2003年に始まったこの大会に、UTFFは第1回から参加している。年々参加校も増えレベルも上がる中、第6回大会で第2位を獲得、そして昨年の第7回大会で初めて悲願の総合優勝を果たした。
優勝した時を思い返して、当時のチーム幹部はこう話す。「第6回大会は競りあった末の2位。それだけに昨年は、『今年こそは』という思いで臨みました。」ようやく掴んだ優勝。今年は優勝を期に新エンジンを導入し、さらなる高速化を目指す。
チーム創設時から変わらないコンセプトは、「easy drive」。大会でドライバーを務めるのはプロではなくチームの学生であるという点を意識し、誰でも簡単に運転できるようなマシン作りを目指している。このため、一般的に採用されているマニュアルの変速機ではなく、大会では珍しい電子制御のCVTというオートマチックの変速機を採用するこだわりをみせる。CVT搭載車での優勝は、人と違う方法で勝つという大きな喜びを生んだ。
ものづくりに魅せられて
フォーミュラカー作りに関わりはじめた動機として最も多いのが、「ものづくりをしたい」という思いだという。金属削り、溶接といった一人一人の地道な作業が部品を作り出し、それが集まって一台の車ができる。自分の作ったものがきちんと機能した時にやりがいを感じる、と話すメンバーはまさに職人の顔をしていた。
一方、機械には触らないメンバーの存在も忘れてはならない。ビジネスパートの面々だ。渉外活動を担当し、マシン作りに欠かせないスポンサーとのやりとりを担う。
あらゆる部門の力を結集して一台のマシンを完成させる――そのプロセスには、関わるメンバー一人ひとりの熱い思いが詰め込まれている。
そして五月祭
今年の五月祭では、優勝したマシンである「UTFF10」を展示する。メンバーは、「自分たちの活動を広くいろんな人に知ってもらいたい」と話す。

生のレーシングカーをぜひ間近で見てほしい。学生の手作りであるということに驚くだろう。また、パーツの展示もしている。当日は、ユニフォームを着たスタッフたちと、青く輝くマシンがあなたを迎えてくれるだろう。

