メーデー:東日本大震災特別講座
先日に発生した東日本大震災を受け、五月祭常任委員会では、本学の教授6名をお呼びして、急遽「メーデー(m’aider)」をテーマに国土や災害に関する講座シリーズを組むことに致しました。
これは、大学が広く一般の方々に公開される五月祭に於いて、大学の持っている研究成果を社会に発信し還元してゆくことこそが、いま大学が出来る最も大きく長期的な復興支援だろうと考えるからです。
※事前予約や整理券配布などはありませんので、直接会場へお越しください。
※当日の状況によっては立ち見をお願いする可能性もあります。予めご了承ください。
※なお、当日はこちらのサイトにてUstream中継を行ないます。会場にお越しになれない方も、是非ご覧ください。
| 場所 | (各日各回とも)小柴ホール | ||
|---|---|---|---|
| 28日(土) | 11時-12時30分 | 田中 淳 教授 | 「災害の被害者から支援者へなるために」 |
| 13時-14時30分 | 藤垣裕子 教授 | 「三大災害(地震、津波、原子力発電所事故)にみる 日本の科学技術と社会コミュニケーションの課題」 |
|
| 15時-16時30分 | 古村孝志 教授 | 「スパコンで検証、東日本大震災の強い揺れと津波・そして防災」 | |
| 29日(日) | 11時-12時30分 | 船曳建夫 教授 | 「人間の住むところ」 |
| 13時-14時30分 | 篠原伸夫 教授 | 「原子核とヒトの力くらべ」 | |
| 15時-16時30分 | 小原一成 教授 | 「日本を取り巻く地震:ゆっくり地震から超巨大地震」 | |
災害の被害者から支援者へなるために
田中 淳 教授(東京大学大学院 情報学環 総合防災情報センター)
残念ながら、災害から免れることはできない。
首都直下地震、東南海・南海地震、首都大規模水害など、危険性が指摘される災害は多い。
被害規模は大きいし、また長い厳しい被災生活を強いられる、しかし、命を守ることはできるし、資産を守ることはできる。
一人一人が災害に備え、適切な対応をとれば、被害を大きく減らせるし、被害者から支援者として周囲を支えることができる。
そのために、我々は何ができるのか、一緒に考えたい。
三大災害(地震、津波、原子力発電所事故)にみる日本の科学技術と社会コミュニケーションの課題
藤垣裕子 教授(東京大学大学院 総合文化研究科 広域科学専攻)
今回の三大災害の発生にともない、科学技術と社会との接点でいくつかの問題があきらかになった。
とくに原子力発電所の事故関連では、公式発表の窓口の多さ、個人で情報発信する大学内外の研究者とメディア情報とのギャップ、専門家間の意見の相違、科学・技術的な事象を社会へ説明する際の「翻訳」や、必ずしも明確に答えが出せない段階で意思決定をしなければならない場面での説明責任などの問題がある。
また、安全管理における「想定外」の意味、「想定」の功罪、技術への過信、今後のエネルギー政策を話し合う公共空間の設計などの問題も問わねばならないだろう。
さらに、市民の手による放射線量の測定、市民の放射能リテラシー、放射能汚染の健康影響をめぐる科学コミュニケーションの問題なども生じている。
本講義では、これらの課題を科学技術社会論の立場から論じる。
スパコンで検証、東日本大震災の強い揺れと津波・そして防災
古村孝志 教授(東京大学地震研究所 地震火山災害部門)
東日本大震災の未曾有の災害発生を受け、被害想定と防災対策の再検討が求められています。
なぜこれほどの大きな地震が今日起きたのでしょうか。
そして大津波と被害発生の根本原因はどこにあったのでしょうか。
引き続き、どのような巨大地震が近い将来に日本を襲う可能性があるのでしょうか。
これらの緊急課題を、高密度地震観測データの可視化と、スパコンを用いた大規模シミュレーションから明らかにし、解決策を模索します。
人間の住むところ
船曳建夫 教授(東京大学大学院 総合文化研究科 文化人類学)
農業文明から産業文明に転換しつつあるこの二百年、人口は村から町に移動している。
しかし、知り合いと対面しながら住むムラと、見知らぬ顔の人と社会的関係を取りながら共に住むマチとは、たんに村落部と都市部という地理的に異なる空間のことではない。
それはライフスタイルのことでもある。村にもマチが、町にもムラがあるのだ。
私たちは、いま、生まれてから死ぬまでの住むところを、ムラ的な生活とマチ的な生活のあいだで、漂いながら模索している。
原子核とヒトの力くらべ
篠原伸夫 教授(東京大学大学院 工学系研究科 原子力国際専攻)
2011年はキューリー夫人のノーベル化学賞受賞(ラジウムとポロニウムの発見) から100年目に当たる「世界化学年」です。
彼女たちの放射能の発見に始まる原子核研究の成果は、原子力として利用されるようになりました。
しかし原子核の力は強大であるが故に、原子爆弾を生み、今年は福島原子力発電所事故が起こり、原子力エネルギーにはヒトに影響する負の部分があることも事実です。
講義では放射性物質に係わる歴史を振り返り、これからの原子力研究の果たすべき役割について考えてみます。
日本を取り巻く地震:ゆっくり地震から超巨大地震
小原一成 教授(東京大学 地震研究所 観測開発基盤センター)
日本は地震列島です。東北地方太平洋沖地震によって、我々はそのことを改めて思い知らされました。
日本に発生する地震は主に、海洋プレートが陸の下に沈み込むことによりプレート境界付近で発生する海溝型地震と、地殻が圧縮されることによる内陸型地震に分かれます。
東北地方太平洋沖地震は前者ですが、プレート境界では、大きな揺れを伴わない 「ゆっくり地震」と呼ばれる現象が、近年の地震・GPS観測網によって明らかにされてきました。
本講義では、日本列島に発生する様々な地震を解説します。